上記のYahooニュース、内容を要約すると「JAFの年会費の元を取れるほどトラブルが発生する確率は低いので、会費を払うのは無駄」という内容でした。
その記事に対して付いていたコメントの数々がなんともいえない、「保険に関する無知」に基づく感情的なものが多かったのが気になりました。
保険とは何か、を理解していない
一言で言えば、保険の本質を理解できてない人が多すぎだな、と。
sur*
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/articlemain?d=20190727-00010002-jisin-soci
保険と一緒。
事故に遭うのは何年に一度の事?
その為にJAF年会費より遥かに高い保険料払うのは何故?
無駄だと思って入らないのは自由だけど、必要とする時が巡ってきて泣くのは自分だよ。
上記コメントのように、「JAFは保険」というところまでは理解できているのに、「そもそも保険とはどういう性質のものか」が分かっていない人が多いようです。どうも「保険」という単語が「(精神的な意味での)お守り」くらいの意味に使われている印象があります。ですが現実には保険はお守りになるものとならないものがあります。
損失が巨額になるものは保険が有効
損失額が低いものに関しては、保険など加入せず、コメントの返信にあったwmd*さんの指摘通り、「料金と同等の金額を払ったつもりで貯蓄しとけば良い」のです。
保険というのは「起こる確率は低いけれども、万が一起こったときに莫大な損失が生じるもの」をカバーするために役に立ちます。たとえば対人・対物事故や、家族を養ってる立場の人の死亡(掛け捨て型の生命保険)、自宅火災など。これは保険料と保険金のバランスが非常にお得です。月々数千円を払うだけで、万が一の際に数千万円~数億円をもらえるのですから。起こる確率が低いものは、当然保険料も安くなります。
損失が少額のものは貯蓄が有効
逆に、「起こる確率が高いし仮に起こってもまあ自腹で無理なく払える程度の損失」を保険でカバーするのは愚の骨頂。 起こる確率が高いものは当然保険料が高くなります。
たとえば民間の医療保険(通院・入院保障など)、車両保険、ロードサービス、家電やスマホなどの故障保険(延長保証含む)などなど。こういうものは保険料と保険金のバランスが悪く、いわゆる「情弱ホイホイ保険」。受け取る保険金が、それまで払い込んだ保険料の総額を超えることはめったにありません。
たとえばJAFの例で言えば、年間4千円払って、万が一の際に得する金額がせいぜい2~3万円。確率的に9年に1度くらいしかJAFを呼ぶほどのトラブルにはならないため、4,000×9=36,000。この36,000円に対して得する金額の期待値が3万円にも満たないようでは、まったくお得ではないわけです。この辺はyahooニュースの元記事にて指摘されていた通りです。
それ、元本割れしてますよ
つまり、ほぼ確実に「元本割れする金融商品」とも言えます。貯蓄や投資ではやたら元本割れを気にするくせに、保険の元本割れには無頓着な人が多いのは理解できません。これらは仮に何かが起こっても大した金額はかからないので、保険に加入せずにその分を貯蓄しておくのが賢いのです。
ただし車両保険についてはケースバイケースで、高級車の場合とか新車買ってから最初の三年くらいは、車両保険に入っておいたほうがリスクとリターンのバランスが取れることもあるでしょう。すでに価値が下がりきっている古い車なのに車両保険に入るのはあまり得策ではありませんね。
結局JAFに加入すべきか否か
というわけで、数学的に考えればJAFに加入して毎年会費を払うのは、「保険」として考えると割に合わない保険・お得度の低い保険だと言えると思います。
ただ私はそれを理解したうえで、個人的にはJAFに加入し続けております。理由としては、混み合っているときなどに出動要請が重なった場合、当然、非会員よりも会員が優先されるであろうことが1点。それから年会費が4,000円と非常に低く、絶対的な金額として気にならないほど少額であることが1点。さらにJAF優待が効くお店に行くことがよくあるので、そこでもいくらか得するので実質会費はもっと安くなるのが1点。この3点をもってJAFに加入しております。
しかし先述のように冷静に数字だけ計算すれば「損する」確率のほうが高いので、わずかな金額でも節約したい方はよくよく確率を見積もって加入するか否かを検討されると良いかと思います。
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