YouTubeで、とんでもなくメンタルが強い天才高校生バンドの動画を見つけてしまいました。
その名も『金魚草』(きんぎょそう)。バンド名からしてアナーキーです。
わずか四ヶ月前に結成された初心者バンドによるライブ演奏。あまりにもツッコミどころが多すぎて文章では説明しづらいので、まずは以下の動画をご覧ください。
モンゴル800の代表曲『小さな恋のうた』を演奏する彼ら。
しかしアレンジと演奏能力が天才すぎて原曲の面影がまったくありません。
どこからツッコんでいいのか途方に暮れるほど壮絶な内容です。
コントではありません。彼らは真剣なのです。
バンドメンバー5人とも超絶メンタルが強いので、一人ずつコメントしてみます。
見た目・服装・演奏・全体的な感じからして中学生かと思ったら、高校生とのこと。
こんな超大物バンドの動画が2012年8月9日にYouTubeに投稿されてから、私が2014年2月に「発見」するまでのおよそ1年半もの間、なぜ全く話題にもならず埋もれていたのだろうか…。(私が最初に見てこの記事を書いた2014年2月20日の時点で再生回数は100回未満だったと記憶)
このまま彼らを歴史に埋もれさせてはいけない。その使命感が私を衝き動かし、このブログ記事を書くことにしました。
メンバー各人の詳細
★ボーカル (金井ユウキくん)
野球部的なマジメさがにじみ出ている。なんとなく、いい人そうな見た目。
どうしてボーカルに立候補したのか謎に思える歌唱力。ただ、その謎は一曲目が終わった後のMCにて明らかになる。どうやら生まれつき聴力が若干弱いとのことらしい。どこぞの長髪グラサン髭の詐欺師とは違って、耳に不自由があっても自分の声で頑張る彼は素晴らしい。
★左側のギター(レスポール型) (合田 ゴウダ リュウタくん)
せめてチューニングだけでも正確にやってほしい。これは初心者であってもチューナーを使って丁寧にやれば誰だって正確に出来るんだから。
あとクリーントーンなのは何故? 曲調的にも演奏力的にも歪ませたほうがいいと思う。おそらく栗本くんの歪みギターと差別化したかったのだろう。しかし、これでは演奏の粗が目立つし、そもそも曲に合っていない。チューニングが狂ってるのに音が一番目立つため、ずっと聴いていると頭がクラクラしてくる。
ところで非常にクールな合田くん。ベースの齋藤ジュンペイくんからの熱い視線をずっと無視し続けるところが良い。
★ベース (齋藤 ジュンペイくん)
このベースくんがある意味で一番「突き抜けている」存在だ。
演奏は主に一拍目のみスタッカート気味の短い音で「ベン」と一回鳴らすだけ。エイトビートを刻むはずのこの曲で、この演奏は衝撃的すぎる。誰か彼に8ビートという概念を教えてあげてほしい。
体が縦揺れで謎のビートを刻んでいるが、全然曲のリズムと合っていない。やたらと左側ギターくん(合田くん)に視線を送って満足げだが、やはりリズムが合わない。リズムだけじゃなくて音階(押さえているフレット)もかなり適当にやっている。当然チューニングも狂っているようだが、あまりにも音がブツ切りになりすぎて判断がつかない。
彼の演奏レベルを端的に表現するならば、
「まあ、ちょっと仕込んだアシカとかのがうめーんじゃねぇの?」(出典:僕といっしょ/古谷実)
このクオリティをドヤ顔で演奏できる彼は将来大物になるかもしれない。
※注:スマホで閲覧している方へ。スマホの小さなスピーカーでは低音が全く出ないので、ベース音はほぼ聞こえません。ぜひ低音が出るスピーカー環境で斉藤くんのベース音を聞いてみてほしい。 ※イヤホンかヘッドホン使えばスマホでも低音聴こえるかも?
★右側のギター(ストラト型) (栗本 ナオキくん)
一番イキっていて、実に中学生らしくて良い(いや、高校生だった)。
MC担当。バンド創設者でリーダーのようだ。
喋るときに「まぁ」と言う回数が異常に多い。あと「よろしくおなしゃーっス!!」が口癖。表面上はイキりつつも実は内心ドキドキな感じが初々しい。中二病っぽいが、高校生なんだよね。彼のMCを聞いているだけで、私は10分は笑い転げることが出来る。もちろんそれは彼を馬鹿にしているわけではなく、そこに「かつての自分」を見出すからだ。
「バンドを代表して一言喋ります」と言うものの一言では終わらず、長々と喋る。すごいトークの才能だ。結婚式の乾杯スピーチとかでつまらない話を延々として顰蹙を買うタイプかな。
一曲目の終わり(4分45秒)で、ストラップを利用してギターをブン回すアクションがある。見事に綺麗に回ったけど、練習すべきはそこじゃないだろう。
あと歪みギターでなおかつ音量が極端に低いので、全然演奏が聞こえない。他のパートが休んで彼のギターのみになる部分でやっと聞こえてくる。他のメンバーよりは明らかに演奏技術が上手いようだ。あくまでも他メンと比べてね。
とりあえず彼は自分の姿(この動画とか)を客観的に見て、枕に顔を埋めて足をバタバタさせるといいでしょう。「うわあああああああああああああああああああ」と叫ぶと良いでしょう。それが成長というものです。誰もが青春時代に一度は通る道です。みんな誰しもが自分の卒業文集やら過去に書いたSNS投稿やら何やらを数年後に見返して、「イタイ! キツイ!」と悶絶する。それが大人への階段なのです。
もし、もしもですが、この動画を自分で見て、枕に顔を埋めたい気分にならないとしたら・・・、もう私からは何もアドバイスできることはありません。
★ドラム (小嶋 トモキくん)
なぜか一拍目にクラッシュ・シンバルとスネアを叩く・・・というのをほぼ全小節で延々と続ける。ハイハットをハーフオープンにして演奏すべきところだと思うが、頑固にシンバルを使い続ける。実にアヴァンギャルドなドラム演奏である。どうやらベースくんの「一拍目ベン」と合わせているらしい。
ロックの根幹である「バックビート」を完全に無視しているのが斬新。もはやこれはロックではなく、違う何かだ。
しかしリズム隊の要であるテンポ・キープは、初心者にしては悪くないと思う。普通、初心者はどんどんテンポが走っていってしまい、曲が終わる頃には超高速BPMになってしまうことが多いのに。
二曲目、さらに奇跡が起きる
ちなみに二曲目はなんと自分たち作詞作曲のオリジナルだという、「ワンダフル・サマー」なる曲。こちらも前衛的すぎる演奏のベースがやたらと目立つ。特に11分06秒辺りからベースくんがリズムもコードも完全に無視して弦を乱打する場面は必見である。
曲は一般的な調性音楽の枠を飛び越え、常識に囚われない斬新な現代アートとさえ思える。メロディ・ハーモニー・リズムという、音楽の三大要素はまるで無視されている。おどろおどろしいベースの鳴りがそれに拍車をかける。
もはや宗教的な呪詛か何かかと思ってしまうような怖い曲調。だが、なぜか歌詞は「さわやか青春☆胸キュンPOPS」な内容。ここまで曲と歌詞の乖離が甚だしい音楽は前例が無いだろう。
曲が始まる前のMCで、「これこそ雑音です」と自ら言っている。一定程度の自覚はあるようだ。しかしそれでも人前でこの演奏を披露できる強メンタル。ぜひ見習いたい。恥ずかしがる素振りなど微塵も見せず、全員がドヤ顔で自信満々なのが凄いのだ。
普通、誰もがなんだかんだ言い訳して他人に披露できないもの。それなのに、この仕上がり具合でコンテストに出てくる。尋常ではない。私なんてライブに出演する勇気もないので、その時点でもう彼らには勝てない。勇気ある一歩を踏み出した者のみが醸し出す独特のオーラが彼らにはある。
総論
・このライブに来ているお客さんたちは、とても優しくて気遣いが上手
・金魚草の音楽には恐ろしいほどの中毒性がある
・ロックンロールは鳴り止まないっ
過去に一度でもバンドを組んだ経験がある人・ライブをやったことがある人なら、分かるよね? 「これこそが本当は自分もやりたかったことだ!」って。わざわざ言うのも恥ずかしいくらい。この感覚が分からない人は少なくともロックには向いてないから他の音楽をおすすめします。
※2014/2/24 追記
リーダーである栗本ナオキくんのものと思われるブログを発見しました。
ここにメンバー全員の名前なども載っていました。
http://ameblo.jp/bakten-akb/archive2-201204.html
このブログでも彼のメンタルの強さが遺憾なく発揮されております。
オリジナルはこちら
ちなみに本家本元の「小さな恋のうた」も念のため・・・。
金魚草大先生との違いを実感しながら聴いてみてください↓
2016/6/1 追記
栗本くんがツイッターやってるようです。
【参考】https://twitter.com/shiron1016
応援のメッセージ、金魚草再結成希望のメッセージ等、ぜひ送ってあげて!!
2017/3/26 追記
ついに栗本くんが大学生活を締めくくるラスト・ライブを終えたそうです。見に行きたかったなぁ。
元金魚草リードギター、クリモトナオキ氏がラストライブにて例のHOTLINEで使用した赤色ストラトキャスターに直筆サインをしファンに手渡した映像はこちら pic.twitter.com/YJtIWXbKyQ
— 千葉商科大学フォーク&ウエスタン研究部 (@cucfw406) 2017年3月18日
@cucfw406 続き pic.twitter.com/3CsjzmvkBR
— 千葉商科大学フォーク&ウエスタン研究部 (@cucfw406) 2017年3月18日
@cucfw406 続き pic.twitter.com/GXkE6OENCT
— 千葉商科大学フォーク&ウエスタン研究部 (@cucfw406) 2017年3月18日
栗本くんがみんなに愛される人気キャラになってるようで感慨深いものがありますね。
ところで、この動画の短い時間の中で何回「ガチ」って言ってんねん、と。若い人たちのボキャブラリーって貧しいなぁ・・・。ちょっと前まで「ヤバイ」が担ってた役割を今は「ガチ」が担ってるのかな。どちらにせよガチでヤバイ言語センスだとは思うけど。
参考リンク
栗本君のFacebookページ(たぶん)。
他の年のHOTLINEにもキラリと光る何か
金魚草という伝説を輩出した島村楽器主催のHOT LINE。
他の年にもたくさんの逸材が出場しております。
2019/1/10
なんと栗本くんがツイッターを再開していたようです!
またライブをやってくれるのでしょうか?
もし金魚草をオリジナルメンバーで再結成して、LOOP H☆Rと対バン組んでライブでもしようものなら、1000人くらい入れる箱でもソールドアウトするのではないでしょうかw
金魚草のGtだった人(@gold_band_69)さん | Twitter
https://twitter.com/gold_band_69
齊藤純平(@minamionagisa)さん | Twitter https://twitter.com/minamionagisa
コメント
はじめまして。
昔「小さな恋のうた」が流行ったなー,あれ、何であんなに酷い出来なのに流行ったんだろう
と、酷い話『小さな恋のうた 下手』で検索して此方のブログにたどり着きました。
何というか……本当にメンタルが強い方たちですね!不協和音とはこの事か,といった感じである意味非常に面白かったです。
この方たちと比べると(失礼かもしれませんが)本家がまるで名曲の様に聴こえてさえくるので不思議です。「中の下(下の上?)」と「下の下」の違いなんでしょうが,そこには明確な差がありますね。
素敵な記事をありがとうございます。
軽く中毒になりました。
ニコ動見て検索して来ましたおもしろい記事ありがとうございます!!
自分もバンドやってるんですが、こういう人気のあるブログさんで紹介されてる金魚草がうらやましいです!!
ニコ動でゎ再生回数17万回こえてますのですごいです
自分もいつかホットラインにでたいと思ってるのでいつかここで紹介してもらえたら嬉しいです!!
[…] 異常にメンタルが強すぎる高校生ロックバンド 金魚草 […]